日本の家の柱は  芯持ち柱と割柱に分かれていました。割柱は 径級の大きな丸太から 四ツ割など 芯を入れずに割ったものを使います。 

芯持ち柱は 径級が敵寸 16cmぐらいの丸太で105mm角にして柱にします。芯があるから 強いと言われますが その芯がある為に 芯割れと言って 大きく割れます。 これはどんな木材でも 自然に置いとくと起こる現象です。

その現象を押さえ込む為に現在は 高温乾燥機が開発されました。

お寺に使う柱などは この割れを防止しながら 乾燥させる方法として いろんなやり方がされています。

木材を池や沼に係留する、或いは 土に埋めてしまう そして 長く放置することにより 乾燥して 大きく割れないことになると聞いています。

芯持ち柱は 和室の真壁作りの化粧柱として 今も使われています。 当然 割り柱もありますが その違いは 3面 見える時 芯持ち柱は 3面 板目の状態になりますが 割り柱は 1面だけが板目で2面は柾目になります。

地域差はありますが 愛媛県では 現在も芯持ち柱が多く 使われています。戦後造林で 木材の径級が小さい物しか無かったことも あると思いますし 割り柱に比べ見た目が良かった。割り柱に比べ製品の曲が少ない。価格が安かった。などが考えられます。

芯持ち柱は 自然に乾燥させると 割れが生じます。その為 柱に人工的に 先持って 割れを入れて置く 所謂 一面背割りです。現在も化粧柱には主にやっている方法です。この割れは 4面の内の一面に 柱の半分に達する深さに入れます。その深さまで入れないと 残りに3面に割れが出る場合が多くなります。 人工乾燥機で対応が難しい 8寸角など大黒柱も 殆どがこの方法を取っています。

一般の見えない構造用の柱も この1面背割りでした。 しかし 時代が移り 真壁工法から 多くが 大壁工法になった時 この1面背割が問題になるようになりました。 この1面背割の欠点は その人工の割れが深い為に変形が大きく その変形が壁を押してしまいます。 工法がだんだん合理化され その昔のように 胴縁を使って 壁面の通りを出すことをしていると時間がかかってしまう。真壁の場合は左官の仕事で多少の分の違いは解らなかったが 大壁つくりでは目立ってしまいます。

そこで そのままの つまり 自然乾燥で使っていたのですが 家を建てた時 割れていて 見た目が悪い。 木材業としては木材は割れる物 割れても強度は落ちないが常識ですが それでもカッコ悪い。

それで 思いついたのが 4面スリット工法です。その時代は乾燥機が普及していなかった時代です。

思いついたのはいいが 実績が無い。 最初は丸鋸で1面 1面 浅く 切れ目を入れていきます。 どのぐらいの深さがいいか探りながら 手作りです。 乾燥にも 時間がかかります。また 利用してくれる大工さん 工務店にも理解してもらわなくていけません。1000本近く 作り 利用してもらって 少しずつ 利用者を増やしていきました。

これはいけると思い 実用新案ぐらい希望していました。当時はまだ 乾燥材を売っている時代では無く 大工さん 工務店さんが 事前に購入して 倉庫で乾燥させる時代でした。屋外でも傷みが起きないし大工さん自身でも簡単に作ることができる。 このやり方は 自然乾燥には適したいい方法と今も思っています。

そんなある日 木材新聞を見て 驚きました。

(名古屋の岩崎木材 4面スリット工法で特許出願)の記事

日本の中 同じことを考えた人が別にいた。私の方が1年ぐらい早いが それにしても不思議なことです。早速 名古屋に飛んで挨拶に行きました。

岩崎木材さんの発想は 名古屋水害で家が水没して その後リホームするのに 1面背割の柱が変形して困った。そこで 住宅会社からの要請があり思いついたそうです。年間700棟からの仕事をこなしていて さすが都会と感心しました。

私の方が先駆であったと認めてもらいました。いろんなデーターも用意されていて感心しました。そのパンレットを使わしてもらったりする為 そして 特許の出願に敬意を表し お金を多少払いました。そのかわり 当社は別格扱いになりました。

その後 この方法は全国に広まり 東日本ハウスさんが採用されたりしました。

ただ 考え方に違いがあって だんだん 普及が進んでいた乾燥機で乾燥させてから スリットを入れる物も現れました。

この方法は先にスリットを入れて自然乾燥をすることが基本と私は思っています。それは この方法は 直材でないと後で線が曲がってしまいます。つまり良材の証なのです。曲がった原木で人工乾燥させてから スリットを入れることには反対です。

ただ 自然乾燥には季節と売れ行きに大きく影響を受け 当社でも 10000本の在庫があっても 売れる時にはあっと言う間に売れてしまい乾燥が追い付かなくなります。また 実際 含水率にはバラつきが出ます。

これを安定させるには 天乾燥の後 人工乾燥が必要かとも思います。

しかし 基本はエコな方法 自然なあり方で 長く置いた スリット柱がいいと思います。

本来 この方法は 利用者が 未乾燥材を買って 自分で乾燥させることを想定していました。それが一番安く出来ますし安定します。

今はKDの柱や集成材の柱がいつでも手に入る時代になりました。 

しかし自然乾燥にも良さがあります。みなさん ご理解の上 ご利用ください。   

 

 

 

 

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